昨年8月に映画『国宝』を観に行きました。たくさんの方が鑑賞し、中には何度も鑑賞された方がいるとのこと。ある歌舞伎役者の半生を描いたもので、様々な苦難を乗り越えて人間国宝となるまでの話です。
主役の吉沢亮さん(喜久雄 役)が歌舞伎役者として成長していく様子はとても見応えがありました。俳優吉沢亮の演技力は素晴らしく、本物の歌舞伎役者以上に美しい女形になりきっていました。しかし、60年来の歌舞伎ファンである私は、映画では正直物足りなさと納得できない箇所がいくつかありました。
ヒットメーカーとして有名な脚本家の三谷幸喜氏が『映画がとても良かったので 原作も読んでみたら 映画に入っていないエピソードがたくさんあって 原作の方がとても良かった』と語っていると聞き、原作(著者 吉田修一、『国宝』上・下 資料①)を読んでみました。

資料①
三谷氏が言うように、映画には出てこないエピソードが原作にはたくさんあり、とても読み応えのあるものでした。
血筋が優先される歌舞伎界で苦労を重ねた結果に得た『人間国宝』であることを映画でも強調して欲しかったです。
また原作を執筆した吉田修一氏は3年間、歌舞伎の黒子を務め、歌舞伎の世界や慣習を体得しただけではなく、歌舞伎に関する多くの文献や資料を調査しており、そのことにも感心しました。我々研究者も同様で常にあらゆる方面の情報収集を行い、それをまとめ、伝えていくことが大切であると感じました。
3月中旬に東京に行き、歌舞伎座で「三月大歌舞伎」を観劇しました。
例年この時期には歌舞伎を楽しんでいますが、今回痛感したのは『世代交代』でした。

資料②
昼の部は『加賀見山再岩藤』と『壽春鳳凰祭』、夜の部は『三人吉三巴白浪』(資料②)でした。歌舞伎の演目は何度も繰り返されているため、『壽春鳳凰祭』以外は10回以上観ていますが異なる配役で上演され、毎回不思議にも新鮮に思えます。これは役者の個性なのでしょう。私が歌舞伎に触れるようになった中学1年生の頃、『若手』俳優であった方々の『息子』や『孫』の世代にその『芸』や『技』が伝承されていることに感動しました。一方、『国宝』の主人公喜久雄のような歌舞伎界の血筋ではない役者も増え、伝統芸能の継承に貢献していることを頼もしく感じています。
私が扱っている『藍』は歌舞伎よりも古い歴史がありますが、特に食用藍は新しい分野と言えます。
少しでも多くの方に認知していただくためこれまでの事業を継続し、今後は後進を育成したいと考えています。








